社長からの手紙
”花まんま”のあとさき2025/10/1
さすがの長い長い夏もようやく後ずさりしてきましたね。作業所の暑さ加減ももちろん心配でしたが、それ以上にみなさんのお家にはエアコンが付いているだろうかと胸騒ぎの夏を過ごしました。
わたしが幼稚園児のときの思い出です・・みんなお弁当を持ってくるのですが、家内事情でおばあちゃんがお弁当を作ってくれている女の子の園児がいました。おかずはお決まりの煮しめ物です。“茶色”のお弁当は女の子にとっては哀しいものだったようです。
ある日、この女の子のお弁当がまるで花園のように色鮮やかになっていて、みんなは目を見張りました。しかしそれは玉子焼きの黄色やウィンナーソーセージの赤色ではなく、道端に咲く草花が敷かれているものでした。子どもが“ままごと遊び”で花びらで装う「花まんま」そのものでした。担任の女の先生が秘かに二つのお弁当を持参するようになったのは、その翌日からでした。
わたしは男の子ですから、大人になって掃除屋の大将になったらこの女の先生に負けないよう大盛りの弁当を職人さんたちに振舞おうと子ども心に思ったことです。
金子みすゞ『花のたましい』より
ちったお花のたましいは ・・・・・
風がおいでとよぶときに やはりすなおについてゆき
なきがらさえもままごとの ごはんになってくれるから