社長からの手紙
立ち尽くす三つの影法師2012/11/1
最近、三つの立ち尽くす影法師に出会いました。一つ目は新聞の読者「声の欄」の中に登場する中学生。投稿者である老婦人が朝、犬の散歩をしていると中学校の校門の前に立ち尽くす一人の男子生徒を見つけました。想像ですが“いじめ”にあっていて登校が叶わないのだろうと筆者は述べています。「頑張れ!」と声にならない声援を送ったそうです。
二つ目は私の家の玄関先でのこと。朝、車庫から車を出そうとしていたら近所の男子中学生が玄関前で立ち尽くしている姿を見つけました。何をしているのだろうと見ていると家屋の間から差し込む朝日の光に向って立礼していたのでした。私は「ありがとう!」と自然につぶやきました。
三つ目は曲渕水源地付近を車で走っているとき、路肩に立ち尽くす老婦人が目に入りました。どうしたのかなと気になって減速してやっと飲み込めました。路肩に咲いている真紅の彼岸花を見つめているのでした。これも想像ですが、もう亡くなった連れ合いとの秋の想い出に浸っているかのようでした。帰宅して庭にひっそりと咲いている彼岸花を見つけました。もう50年も前の秋に父とドライブしたとき、曲渕から採ってきた花です。気にもしていませんでしたが、この父との想い出の彼岸花はあれから50年間も毎秋黙って花を咲かせ続けていたのですね。私自身も秋の陽に包まれて、しばらく立ち尽くしていたようです。