社長からの手紙
ビルメン人生至る処に“青山”あり2024/12/1
ことわざに「人間至る処に青山あり」と云うものがあります。“青山”は墓所を意味するのですが、ここでは“終の棲家”とか“安住の地”という意味合いだと思います。
わたしたちビルメン従事者の多くは、清掃であれ設備であれ警備であれ「職業人生の再出発」という経緯で就労しています。みんなそれぞれに人生の荒波にもまれた後にこのビルメンの仕事にたどり着いたのでしょう。人生の辛酸をなめて来たからこそ、ビルメンの“清廉”なる職業観に新たな生き甲斐を見出されているのだと感じます。
30年ほど前、我が国の経済は『バブル崩壊』という未曾有の危機を迎えました。多くの善良なる仕事人が理不尽にリストラされ、路頭に迷うことになります。そのころNHKテレビで放送されたあるドキュメンタリー番組を今でも鮮明に憶えています・・
当時、やむなく失業した壮年の20人の働き手が再就職を目指して東京都が運営する職業訓練校「ビル設備管理科」に入校します。卒業期間は半年でその間にボイラー技士資格試験に合格してビルメン会社への就職を目指します。それまで大手企業の営業部長など華やかな仕事を務めてきた人たちですからボイラーマンのような機械屋への転職には正直気が向きません。それでも家族の生活という現実問題がかかっていますから己に言い聞かせるように試験勉強に臨みます。理系の技術課程の勉強なので文系の中年組はみんな難渋します。さらに勉学の困難さより転職への抵抗感の方が勝ってきたりするのです。ビルメン企業への再就職で給料はいままでの半分になるということを奥さんに話せずにいる訓練生もいます。それでもまさに“夜間中学”に通うような仲間の連帯感が生まれ続々と資格取得し就職内定を果たす者が出てきます。ただ製造業の工員であった一人の訓練生だけがどうしても学科試験をパスすることができません。卒業期限が迫る中、同期の仲間が徹夜の試験勉強に寄り添い、ついにこの落ちこぼれ訓練生も合格を勝ち取ります。・・
訓練校卒業後それぞれ違うビルメン会社に再就職しますが、みんな地下の機械室で汗を流す姿は同じでした。
朝日ビルメンの現場もこのような仲間に支えられてきたことを私は忘れません。