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あの夏の影送り2024/09/1

今月の手紙は8月9日「長崎原爆の日」に書いています。私がまだ会社の若手だったころの現場の先輩たちの多くは戦争経験者でした。お盆のころ、現場のお茶休憩時間には“戦争の体験談”がよく聞かれました。その中でも一人現場のAさんのことがこの時季には時折思い出されます。

Aさんは清楚な顔立ちの女性でしたが、顔には大やけどのケロイドが広く残っていました・・長崎で被爆された当時の女学生でした。終戦後に彼女がたどった人生の道のりの過酷さは察するに余りあります。Aさんは人生の後半を“清掃婦”として独り静かに慎ましく過ごされていました。周囲の人との接触は避けられているようです。

Aさんに現場で与えられた控室は、屋上の機械室でした。コンクリ床の上に畳を敷きました。夏には中古の扇風機、冬にはポンコツの電気ストーブを持ち込みました。月一回の巡回時におやつの梅ヶ枝餅を食べながらお茶休憩するのが楽しみでした・・春夏秋冬が一巡する頃には、あの戦争のことも話されるようになり、被爆者であることも打ち明けられました。

秋の社内懇親旅行に誘ったところ参加してくれました・・島原の小浜温泉で塩湯で洗髪したので、皆カリフラワーのような髪型になり、大笑いの宴会になりました。宴会がお開きとなり、小浜の海岸を酔い覚ましにAさんと散歩しました・・「四十年前の夏には、ここからも長崎のキノコ雲は見えたろうね。連れて来てくれて、ありがとうね。いい思い出ができましたよ。」とAさんは独り言のように話されました。

その後、Aさんが懇親旅行に参加されることはなかったと思います。それからまた40年以上の月日が流れましたが、未だに私の“現場への思い”の半分も満たすことが出来ずにいます。

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