社長からの手紙
秒速5センチメートルの絆(きずな)2024/04/10
騒乱とした春夏秋冬が巡りますが、今春も変わらずに桜は芽吹いています。秋には社内懇親旅行、春には花見をみんなで楽しんでいたことが遠い昔のように思われます。写真を見なくても当時の従業員さんたちの笑顔がよみがえって来ます。
今月の手紙は、東日本大震災の鎮魂日3月11日に記しています。大津波に襲われてから13年目の春です。その春、私は単身で被災地に入りました。最初に訪れたのは陸前髙田・・“奇跡の一本”だけを残し7万本の松原が一瞬にして消えた町です。緑濃い奥羽山脈の平泉から一挙に山を下り三陸海岸の
陸前髙田市に着いて、最初に目に映ったものはこの世の地獄絵図でした。高さ数十メートルはある廃材のピラミッドが無数に立っています・・○○幼稚園のぺしゃんこになったバスも積み上げられていました。さらに南下し南三陸町の避難所では、懸命に支援を行っている地元ビルメンテナンスのみなさんとも交流し励まし合ったことです。
当地の津波到達最高点を沿岸170㎞にわたり繋いだ線にいま桜17万本の植樹が子供たちによって進められています・・震災で親を亡くした孤児や当時まだ産まれてなかった若者たちです。桜の花は「あたりまえのこと」こそが「かけがえのないこと」だという真実をさり気なく告げてくれているようです。そして人は「時は過ぎ去るのではなく、巡るものである」という想いを桜吹雪の中で感じてきたのだと思います。
『さくらの はなびら』 まど みちお
えだをはなれてひとひら さくらのはなびらがじめんにたどりついた
いまおわったのだ そして はじまったのだ
ひとつのことが さくらにとって いや ちきゅうにとって うちゅうにとって
あたりまえすぎるひとつのことが かけがえのないひとつのことが
= 桜の花びらは1秒間に5センチ落ちる速さで散っていくそうです =