社長からの手紙
舞台裏へのアンコール2023/11/1
近い将来、お掃除ロボットくんが私たちの仕事を担ってくれそうですが、それでも最後まで代われないのがトイレ清掃だといわれています。出張先の鉄道駅トイレでお世話になる時、黙々と便器清掃をされているクリーンクルーに頭が下がる思いです。奈良県の業界の大先輩が「しゃがみ込んで一心不乱に便器を掃除している清掃員の後ろ姿に“菩薩”を見た」と話されていました。清掃業を夫婦で起こした私の両親も私に伝えたかったことはきっとこの心根であったろうと感じています。
夢の国「東京ディズニーランド」が開園して40周年になりますが、その当時に園内清掃の視察研修に出向いたことがあります。営業時間帯の屋外掃き清掃などは、子どもたちの夢が壊されないようにとクリーンスタッフはピエロ風の立ち振る舞いで作業を行います。本国のアメリカから来たベテランスタッフは、水バケツとほうきで路面にミッキーマウスを描くパフォーマンスで子どもたちを喜ばせます。私自身が心に残ったのは夜間のトイレ清掃でした。昼間の喧騒とはうって変わった静寂の中で、学生アルバイトの若い青年たちがトイレを磨いています。静かな作業環境の中、ひとりの青年が何か独り言をつぶやきながら作業しているのに気付きました・・・よく聞くと自分の担当の便器一つひとつに名前を付けて話しかけながら手洗いしているのです。「プーさん、きょうもよく頑張ったなぁ。キレイにしてやるから明日もよろしくな!」・・・自分自身の孤独感を癒しているのかもしれませんが、私はこの仕事の将来に秘かな希望を感じたことを憶えています。
そして今、我が社ではミャンマーの明るい青年たちが往時の先輩たちの秘めたる思いをしっかりと受け継いでくれています。夢の国の舞台裏へ深甚なるアンコールの拍手を送ります。