社長からの手紙
雨の降る日に2021/06/1
コロナ禍の再拡大の中、お空の模様は早くも梅雨入りです。心も曇りがちになりますが、その湿った匂いにふと思い出がよみがえります。
・・・雨降りは誰でも好きではないでしょうが、小学校時代の級友A君は特に嫌がりました。というのも通学時の雨合羽もゴム長靴もお姉さんからの“お下がり”で使い古しの大きなものです。A君はいつも不満たらたらです。
そういえばA君のお姉さんは女の子なのに紺色の雨合羽に黒い長靴。女の子ならピンクのカッパに赤い長靴が普通なのに。あの頃はみんな貧乏でしたが、A君の家も決して裕福ではありません。兄弟姉妹の衣服なども順々にお下がりで着る時代でした。そう、A君のお姉さんも好きで男物を着ていたわけではありませんね。男の子である弟に女の子の色物のお古を回すことはできません。自分は我慢して弟のために男物を使っていたのです。
・・・そのことに気づいたのは少し大人になった頃だと思います。
A君の姉弟は梅雨空の下、いまでも元気に暮らしているだろうか。