社長からの手紙
沖台風 軒灯震わす 鬼子母神 星 守犬(かねこまこと)2020/10/1
凶暴な台風10号来襲、ご家族ともども皆さんたいへん不安な一夜を過ごされたことと思います。また業務保全のために現場に踏み止まって徹夜で対応してもらった従業員も多数いました。本当にご苦労さまでした。不謹慎な想いかもしれませんが、長引くコロナ禍は家族の絆をも弱めた気がしていました。この台風来襲の一夜は、むしろ家族の連帯や温もりを取り戻す契機になったのではないかとも思っています。その想いを標題の俳句に詠んだことです。
しかし今回の台風は、宮崎椎葉村で建設業に就くベトナム人技能実習生2名の命を奪い去りました。遠く故国を離れ、不慮の災害に遭ったことが哀れでなりません。
私が若い頃、定期清掃洗い作業現場で大きな事故に見舞われました。普段は日常清掃担当のパートさんに、清掃工事班の人手が足らないので定期清掃の手伝いをお願いしました。当時の床は水性ワックス(蝋)仕上げで洗いでは滑々(スベスベ)になります。パートさんにはバケツの水替えを頼んでいたのですが、洗い作業の段取りに不慣れな彼女は慌てるばかりです。そして次の瞬間「バァ~ン」という不吉な音が聞こえました。足元を滑らせた彼女は頭から転倒し強打してしまいました。救急車で運び、緊急手術となりましたがなんとか命はとりとめました。ご主人に報告するために団地に伺うと、玄関先で黒い大きな犬に迎えられました・・“盲導犬”です。ご主人は全盲の障がい者で家のことは奥さん(事故のパートさん)がいないと何もできません。近所の事業所の女性主任さんたちが交替でご主人の面倒を見てくれました。・・その時に思ったことですが、従業員一人一人の家庭環境をちゃんと知っておきたい。そして仲間の誰かに何か困ったことが起こったら、会社が家族として見守りをしたいという思いです。
昨年、設備員の仲間を急病で失いました。自宅就寝中の突然死でしたが、同居の老母は会社の担当者が自宅に安否確認に伺うまで異変に気付くことはありませんでした。今夏、彼の初盆でしたが子を亡くし慟哭する“鬼子母神”に想いを馳せたことです