社長からの手紙
清掃大師2011/01/1
落ち葉舞い散る冬が到来しましたね。この1月号は正月年頭号にもなりますので本来は賀詞を述べるべきところですが、まだ師走の中頃にこの手紙を書いていますから年末繁忙の安全作業貫徹に思いは至っています。路上の落ち葉が雨に濡れ貼りついています。それを清掃従事者の皆さんが手作業で処理している光景を至る所で目にしました。本当にご苦労さまです。小学校の教員を30年以上勤められた先生の回顧録を読みました。数え切れないほどの教え子と関わりあってこられたでしょうが、その中でも2年生の1学期だけという短い時間に受け持たれたA君を述懐されています。このA君は家庭が複雑で2年生のはじめ母方の祖父・祖母に引き取られこの学校に転入してきました。彼の家は貧しく服装もみすぼらしい毎日だったようです。学校の水道工事で給食が作れなくなり、一週間ほど弁当持参になりました。昼食のときA君の弁当を覗き込んで、(お金持ちの?)Bさんが「A君のお弁当変だよ!」と騒ぎ出しました。貧しいおばあちゃんが作ってくれた弁当です。洒落たママが作る豪華な弁当との差は想像することができます。それでもA君はにこにことして同じ弁当を一週間持ってきたそうです。学業成績の方もちょっと遅れ気味でした。算数では2+2=を22と答えます。先生は根気よく教えるのですがどうしても22と回答するのです。先生は考えあぐねて聞きます「どうして4ではおかしいと思うの?」A君「だって4だと2と2は消えてしまう。いなくなったら可哀想でしょう!」先生はハッとします。A君の心情に寄り添えない自分を見つけたのです。そして夏休みを迎える終業日にA君はまた家庭の事情で転校することになりました。クラスメイトは型通りに「元気でね」と言って解散しました。A君が持ち帰る朝顔の鉢が枯れています。草花が好きなA君が育てた朝顔は一番元気だったはずなのに。先生が確かめるとあのBさんがきれいなA君の鉢と自分の枯れた鉢とを交換して欲しいと言ったのだそうです。最後まで心優しいA君です。独りで学校を去っていくA君を見送ろうと先生は校門で待ち構えますが、A君はなかなか現れません。やっとのことでA君が出てきました。服は泥だらけです。先生はびっくりしてどうしたのと尋ねました。A君「最後に友達のうさぎさんの小屋を掃除していた!」。 創業60周年を振り返ったとき私もこのA君のように心に残る従業員を何人か思い出しました。朝日ビルメンが朝日ビルメンらしくあるための大切な思い出です。新年1月22日には皆さんと新しい61年目に向けて大新年会を催します。一年間、本当にご苦労さまでした。また皆で元気に良い年を迎えましょう。